福岡県 小川知事インタビュー

福岡県 小川知事にお話を伺いました。

澁谷:福岡県は野菜や果物、お茶など農産物が豊富ですが、特に力を入れているものは何でしょうか。

知事:本県を代表するブランド農産物といえば、やはりいちごの王様「あまおう」でしょう。あかい、まるい、おおきい、うまい、の頭文字をとってネーミングされた「あまおう」ですが、本当に「あまおう」の特徴をよく言い表していると思います。平成14年に登場した「あまおう」は、12年連続で単価日本一となっています。私も毎年東京の大田市場でトップセールスを行っておりまして、仲卸業者の皆さんに「あまおう」を振る舞うのですが、大変ありがたいことに「今年も待ってたよ」と業者さんのほうから声をかけてくださり、「あまおう」が着実に皆様に認知されていることが実感できます。「あまおう」は、香港を中心とした海外への輸出をいち早く進めており、海外でも大変な人気となっています。現在、アメリカへの輸出に向けて市場調査を実施するなど、海外への攻勢を強めていく計画です。栃木県の「スカイベリー」や静岡県の「きらぴ香」など、各県から「あまおう」のライバルとなる新品種が続々と登場していますので、これに負けないように頑張っていきたいですね。

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澁谷
:「あまおう」は国内ではもちろん人気ですが、海外でも人気が高いのですね。
この他にも福岡県ならではの農産物はございますか。

知事:今年、いちごの「あまおう」に続く果物の新品種として力を入れているのが、柿の「秋王」です。もともと福岡県は「富有柿」の一大産地ですが、柿の消費が落ち込み販売単価が低迷するなど、産地としては危機感を持っていました。そこで県が開発したのが「秋王」です。種がほとんど無く、さくさくとした食感で色づきも良く、糖度も高いというのが特徴です。
昨年、初めて「秋王」を市場に出荷しまして、出荷初日にはご祝儀相場ということもあって1個5万円という高値がつきました。出荷量が少なかったこともありますが高級な柿として評価いただけたと思いますし、県では「秋王」を高級路線で売り込んでいきたいと考えています。
「秋王」の生産量はこれから伸びていきますので、今年の秋から大田市場でトップセールスを行うなど、先手を打って売り込みをかけていく計画です。ターゲットとしては高級果物専門店やデパート、こういったところで高級商材として取り扱っていただけるよう売り込んでいくほか、消費者の方にも「秋王」を試食していただき、また「秋王」という名前を認知していただくため、ブランドイメージにも配慮しつつ、高級志向の飲食店やホテルなどへの売り込みも並行していきたいと考えております。

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また、本県が今年特に力を入れてPRしているのが、「八女伝統本玉露」です。八女茶は高級茶として知られていますが、特に玉露は全国茶品評会で毎年日本一を取るほど高い品質を誇っています。「八女伝統本玉露」は、この八女茶の中でも最高級の玉露です。玉露を生産する際、現代では化学繊維で出来た覆いをかけるのが一般的ですが、この「八女伝統本玉露」は昔ながらの方法、つまり稲わら等の天然資材で編んだ覆いをかけ、しかも手摘みで丁寧に収穫しています。

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澁谷:私もいただいてみましたが、上品な甘みとうまみが感じられて、とても美味しかったです。知事おすすめの飲み方を教えてください。

知事:「八女伝統本玉露」の美味しさを知っていただくには、水出し茶がおすすめです。冷たい氷水で時間をかけて抽出することで、「八女伝統本玉露」ならではのうまみが凝縮された非常においしい水出し茶が出来ますので、ぜひお試しいただきたいですね。

澁谷:次はぜひ水出しでいただいてみたいと思います。

知事:この「八女伝統本玉露」は、お茶では唯一、国の地理的表示保護制度(GI)に登録されました。昨年スタートした国の地理的表示保護制度(GI)では、「八女伝統本玉露」のほか、「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など日本が誇るブランド品目が登録されていますが、もともとこの制度はヨーロッパで発展してきました。例えば、地理的表示として保護されている「ボルドーワイン」は、いくら他の産地で同じ造り方をしたとしても「ボルドー」を名乗ることができません。今年、福岡県内で開催された様々な国際会議の場でも、この水出し茶を外国の方を含めた参加者の皆様に振る舞い、好評を博しています。GI登録を活かし、またこうした飲み方、楽しみ方を紹介しながら、海外への売り込みも進めていきたいと考えています。

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澁谷:本当に美味しいお茶ですので、地理的表示保護制度によって“福岡県ブランド”がより多くの方に認知され、海外のファンも増えると思います。また、福岡県には美味しいお米もあると伺いました。

知事:農業の柱となる水田農業ですが、まず稲作については、県オリジナル品種の「夢つくし」を開発し、さらに温暖化に対応するため、10年がかりで高温にも強い県オリジナル品種の「元気つくし」を開発しました。この「元気つくし」は食味も大変良く、「冷めてもうまい」というフレーズでCMを打ったりしています。今年の秋には、県で開発した高温に強く収穫量も多い新品種「実りつくし」を発売することにしており、県ではこうしたブランド米の生産拡大に努めています。
また、本県では麦作も大変盛んで、北海道に次ぐ生産量となります。その中でも特筆すべきは、県が開発したラーメン用小麦「ラー麦」です。福岡のラーメンにあう「ラー麦」を使用し、製粉業者さんや製麺業者さんの協力を得て開発した「ラー麦麺」、これが県内のラーメン屋さんに浸透してきています。今では県内のラーメン屋さんでもよく、「ラー麦麺」使用というのぼりやロゴを目にすることが出来ます。

澁谷:福岡といえば博多ラーメンのイメージが強いですが、福岡県産のラーメン用小麦を使っているとなればますます関心度が高まりそうですね。ところで、水産物や畜産物についてはいかがでしょうか。

知事:福岡県では、玄界灘で漁獲された「鐘崎天然とらふく」やヤリイカ「一本槍」のほか、穏やかな瀬戸内海側の海で養殖される身入り抜群の「豊前海一粒かき」、さらには有明海の「福岡のり」など、水産物のブランド化にも力を入れています。また、県産の稲わらで肥育された肉質等級3等級以上の和牛「博多和牛」や、県内無敵の軍鶏「石松」の血を引く地鶏の「はかた地どり」といった、特色ある畜産物のブランド化も進めています。

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澁谷:福岡市や北九州市などの大都市を擁しながら海や山などの自然にも恵まれ、豊かな農・水・畜産物があることは、福岡県の強みだと思います。県の今後のお取組についてお聞かせ下さい。

知事:福岡県は都市に近いということもあり、野菜や果物等の園芸農業の振興に力を入れています。ブランド化というのはその有力なツールとなりますし、「あまおう」のようなブランド化の事例を増やしていきたいと思います。そして担い手対策、担い手を増やしていくことが目標となります。そのためには、例えば県の農業大学校や各種の研修による担い手の育成をしっかりやっていくこと、これが重要だと考えています。ただ施設園芸を始めようとしますと、まず施設自体にコストがかかりますし、省力化しようとするとまたコストがかかってしまいます。例えば「あまおう」の栽培にしても、まずハウスが必要ですし、さらに高設栽培をしようとすればかなりのコストがかかります。これを県が支援することで担い手の経済的負担を軽減し、経営リスクを下げる。こうした取り組みを地道に続けることで、農林水産業を魅力ある産業とし、担い手を増やしていきたいと考えております。

澁谷:貴重なお話をありがとうございました。